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2008年8月26日 (火)

村上春樹:アンダーグラウンド

 なぜ村上春樹がノンフィクションなのかわからなかった。だから、まったく関心を持たずにいたこの本を、やっと紐解くことになった。村上春樹の「アンダーグラウンド」。地下鉄サリン事件の被害者へのインタビュー集。ノンフィクションだ。

 内容を考えると不謹慎な表現になるかもしれないが、もちろんおもしろい。その後の小説作品に反映されている人間観がそこで培われていることが感じられる。そして、このノンフィクションにおいても村上春樹の文体は100%楽しめる。たとえば、こうだ。

…それは明らかに何かを求めている。といっても、おそらくは私に向かって求めているわけではない。私の向こうにある「別のもの」に向かって求めているのだ。でもその「別のもの」はぐるっとまわって、私のところに戻ってくるはずのものだ。わかりにくい説明で申し訳ないのだが、ふとそういう気がした。

 こうして引用していておもしろいことに気づいた。僕のコンピュータの日本語変換…ATOKなのだが…は“べつのもの”は“別のもの”であって“別の物”にならない。“もどってくるはず”は“戻ってくるはず”であって“戻ってくる筈”にならない。

 20年近く僕の好みの漢字仮名遣いを反映しているATOKが村上春樹の漢字仮名遣いに一致しているというのは、偶然ではないような気がする。これもまた、僕の一部なのかもしれない。

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